2017年 1月号 B項

ディベート&ディスカッション中心の英会話学校

2017年 1月号 B項

Business: English Skills
ビジネスチャンスを活かす英語力UPのために

こんにちは、1月のB項を担当させていただく佐々木です。
寒い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。

1月20日、ドナルドトランプ氏が正式に米国大統領に就任されましたね。ご子息のバロン君が圧倒された感じで歩く姿が印象的でした。さて、トランプ新大統領の就任式でのスピーチ、「アメリカ第一」を唄い、世界中で論議を呼んでいます。なんと、スピーチの中では(アメリカ国民を指して)「you」を24回、「we」を45回も使っていたそうです。2つの重要単語に焦点をあて、演説の一部を抜粋し、解説を行いたいと思います。

Washington flourished – but the people did not share in its wealth.Politicians prospered – but the jobs left, and the factories closed. The establishment protected itself, but not the citizens of our country.
ワシントンは栄えてきましたが、人々はその富を共有しませんでした。政治家は繁栄してきましたが、仕事はなくなり、工場は閉鎖されてきました。既存の勢力は自分たちを守ってきましたが、国民のことは守ってきませんでした。スピーチの初めの方からの抜粋ですが、ここに出てくる「the establishment」という言葉。Establishment は「設立、体制」といった意味の名詞ですが、theestablishmentとは「支配階級・支配勢力」というあまりよくないニュアンスが含まれることが多いです。つまり、『庶民の味方ではない、決まりきったルールで動く現存の体制』ということで、ここでは権力が集まり過ぎた首都ワシントンDC(=連邦政府)の政治家や政治を指しています。建国当時のアメリカの政治では、ハミルトンを中心とした連邦派とジェファソンが率いた反連邦派に分かれており、連邦派が後の民主党へ、反連邦派が後の共和党へと発展していったと言われています。ここでトランプ新大統領が言う、「権限を首都ワシントンの政治からアメリカ国民に返す」というアイデアは、中央集権化に反対し、各州の権限を尊重しようとした、反連邦派の立場を彷彿とさせます。多くの保守的アメリカ人の心に響いたメッセージであると言えるでしょう。

もう一つ、演説中に出てきた「bedrock」という言葉。Bed=床、Rock=岩、ということで想像できるように、「床岩、岩盤」、「最低の状態,底.」という意味と、もう一つ、大切な意味があるのです。ではスピーチを見て(知らない方は)意味を推測してみてください:
At the bedrock of our politics will be a total allegiance to the UnitedStates of America, and through our loyalty to our country, we will rediscover our loyalty to each other.
どうですか?お察しの通り、「bedrock」には、「根底,根本」という意味があるのです。
私たちの政治の根本にあるのは、アメリカに対する完全な忠誠心です。そして、国への忠誠心を通して、私たちはお互いに対する誠実さを再発見することになります。

では、「bedrock」を使った、こちらの例文に挑戦してみましょう:
My initial career as a psychoanalyst was the educational bedrock of allI have been able to accomplish.
精神分析医という私の最初の経歴は、私が今まで成し遂げることができたあらゆることの教育的基盤となった。

こんな風に、「根底、根本、基盤、基礎」という意味でのこの言葉は文字通りとても重みがあり、この言葉の意味が取れないと、文全体の意味が取れないということになってしまいます。是非、覚えてしまいましょう!

トランプ氏の就任演説、全体的に比較的簡単な英語を使っていて、聞きやすいスピーチになっています。是非、全文理解に挑戦してみてください!