2018年 4月号 D項

ディベート&ディスカッション中心の英会話学校

2018年 4月号 D項

Debate: Topic and Outline
毎月行われているYYクラブのディスカッションの概要(英訳と日本語訳あり)

今回は特別に、次回YYクラブのソフト・トピック「あなたにとって幸福とは何ですか?」に関蓮して、ブータン国で「幸福の指標」として用いられているGNH(GROSS NATIONAL HAPPINESS)について、どのようなものかを紹介したいと思います。議論に先立ち、ブータンの研究センターが発行した。下記のタイトルの図書を基に概要を紹介し、議論を深めるために参考に供したいと思っています。参考図書名”Short Guide to GNH Index” The Center for Bhutan Studies刊行

日本人は一般に、幸福の度合いなどを数量的に表わすなど思ってもみないことです。幸福などは、ある面、定性的、感覚的、(宗教感)であり、人それぞれ異なりとても数量的表示は無理と考えています。しかし、真面目に(論理的、学術的)考え、アカデミックな論文を発行している国・ブータンがあるのです。 驚きです。短い文献でも70数ページに及ぶため、概要として紹介します。なお、興
味のある方は表記の文献をインターネットで検索し、収集ください

以下は本篇のサマリー等からです。末尾にこの部分の原文を目次と共に添付します。
1.      概要
ブータンの「GNH指数」は多面的(総合的)に評価され、また用いられる方法で、一連の政治、政策にも使用されており、実践的に適応されるツールです。このGNH指数は地域、男女別、年齢別、都市・田舎住民の区分等に分けられ、特定の期間に調査されたデータに導かれたものです。代表的サンプルとして用いられています。この指数による「幸福の概念」とは現代の西欧文学に見られる幸福とは異なるものです。即ち、ここでの幸福とは多面的であり、一面的な主観的な幸福観ではありません。また、個人的な人生観でもありません。例え、それが個人的に経験された幸福であっても、別人にとって、その置かれた環境では幸福とは言えません。GNH指数は幸福を求める国民や国家に方向付け(指針)となるものです。幸福が達成出来ていない状況をどのように改善すべきかを示すツールとなるものです。即ち、誰かが、また、何処かが不幸と知った時、このツールにより、次の2つの方法で指数を増加させることが可能になる手法です。一つは、幸せな人々には「何%幸福度を増すべきか」また「不幸な人々には不十分度を如何に減少させるか」です。この時、政府や自治体などは不幸な人達の不十分度を軽減するために積極的に、刺激策を用います。例えば、地方で教育に参加できにくいとなれば、参加させる策を講じる。また,生活レベルが低く、時間が取れない(余暇などに時間が取れない)となればその策を講じ、支援する。ブータンの都市部で不幸な人(富裕層なので)は物質的支援では解決できない。例えば、この場合、コミュニティで、「活気がない」などは文化的、心理的充足が必要となる。テンプー市ではこの例があります。GNH指数は9のドメイン(領域)を通して特性を眺められる。さらに、この指数は33のグループを集合した物であり、この33個の集合化した指数は124個の独立した変数からなります。 (数学の授業の様になって返ってわかりにくいので中断し、次の項に勧めます。ここまで理解できた方は末尾にある英文(オリジナル)を参照ください。)

2.INTRODUCTION
この指数は以下の9つの領域(DOMAIN)と指数~出来ています。
・9つの領域:①心理的豊かさ、②健康、③時間的利用度、④教育、⑤文化活動、⑥良好な政治活動、⑦コミュニティの活動状況、⑧環境保護活動、⑨生活レベル。
・33の指数:
①に関するもの:生活の満足度、積極的感情、消極的感情、精神性
②に関するもの:精神的健康度、自己申告の健康度、身体的不自由
③に関するもの:仕事の時間、睡眠時間
④に関するもの:基本的教育度(読み、書き、計算)、学校教育、知識、価値観
⑤に関するもの:話言葉、文化活動への参加、芸術的才能、
⑥に関するもの:政治的活動、基本的権利、サービス、政治参加
⑦に関するもの:寄付活動(時間とお金)コミュニティ関係性(相互信頼性)、家族、安全(心)度
⑧に関するもの:エコロジー関連活動、環境への責任度、自然環境の破壊、都市化問題
⑨に関するもの:財産、居住環境、生活維持費用

3.各領域(DOMAIN)と 指数(Indication)の定義
 全体の幸福度はそれぞれの質問に答えてもらう方法で点数を算定する。(%で表示する。)
なお、各領域や指数については外国の心理学者の助けを借りているので注意が必要である。
(1)心理学的幸福度とは?(Psychological Wellbeing)
この幸福度は本質的な値であり、望ましい状態を示す。
Diener等は心理学的指数の区分毎にその反応(答え)による影響度によって点数で表示し、また、Sarkozyのレポートでは複合の幸福指数を使う事を重要である強調している。ここで、多分フランス人と思われる人名が出てきますが、注目すべきは彼らが学ブータン政府向けに、学術的サポートを行っていることです。または、彼らの理論解析ツールをブータンに適応して、このツールの提案が適当か否かを実証することでもあるのかと思っています。ともかく、有効となれば、ブータンにとどまらず、徐々に、東南アジアや日本、欧米など複雑な社会に向けて調査することもあると思っています。
(2)健康度(Health)
言うまでもなく、健康が幸福の源(重要)位置付けられています。
(3)教育(Education)
この領域の調査が最も重要と考えています。ブータン国民が伝統的知識と共通の価値観や技能を深く根ざしているからです。加えて、読み、書き、算数、科学、技術を学び、学生は創造的学習と表現を学ぶことが奨励されています。なお、これに加えて、宗教的教育も行われています。ブータンの固有な文化は主権を守ることに通じ、国民に独立心(アイデンティティ)を植えることでもあり大切です。文化の多様性も含め、
(4)時間の利用度(Time Use)
有給の仕事、無給の仕事やレジャーは個人の幸せにとって重要です
(5)政治への関心度(Good Governance)
(6)コミュニティ活動への参加(Community Vitality)
(7)環境への多様性と感心度(Ecological Diversity & Resilience)
(8)生活レベル(Living Standard)

本文では上記項目について詳しく述べていますが、長くなりますので省略させて頂きます。
また、以上の様に、多方面にわたる調査結果から数字を導き出しており、整理されていることに敬意を表します。