Communication: Topic and Outline
毎月行われているYYクラブのディスカッションの概要(英訳と日本語訳あり)
(1)はじめに(こ趣旨説明につき、この項は毎月同じです。)
6月号から、本C項の前半は、最近書かれたシャロン・モアレム著「迷惑な進化」(病気の遺伝子はどこからきたのか)が評判の書でもあり、これを取り上げ紹介するこにします。ただし、この著書は約250ページの多大な著作なので、この中第5章「僕たちはウィルスに操られている」の章のみとします。即ち、ウィルス一般の紹介です。
はじめは、ウィルスについて広く紹介し、次に、新型ウォルスに絞って紹介することとします。いずれも下記「目次 I,II章」に従い、連載しますので、よろしくご高覧頂ければ幸いです。
目次
I.章: シャロン・モアレム著「迷惑な進化」(病気の遺伝子はどこからきたのか)よりの抜粋と当方のコメント
1. 人間を操る病原体
1.1 ウィルスの定義
1.2 人間の生活機能と体内微生物の関係
2.寄生生物はこうやって移動する
(1)トリソプラズマ。ゴンディ (2)くしゃみの効果
(3)ギョゥ虫 (4)コレラ (5)マラリア (6)トキソプラズマ
3.病源体を味方にするには
II章:武藤義和医師著「新型コロナウィルスのNOW」よりの内容ご紹介
こちらは長いため下記の目次に従い、毎月回数ページに分けてお送りします。
(1)「コロナウィルス」って何?
1)新型とやらは?? 2)症状は何? 3)症状 4)かかるとどうなる?
(2)重症化って何が起こることなの?
1)重症化し易い人たちは? 2)小児は?
(3)CT画像って??
1)発症からの画像変化 2)軽症者・中等症者・重症者って?って
(4)検査方法は?
1)PCR法 2)PCR法でドライブ・スルーすればいいんじゃん
2)抗体検査をすれば感染がわかるじゃん!
3)じゃあ 結局検査はどうするの? 4)まだまだ根拠のない抗体検査ですが・・・
(5)感染対策は?? For医療者
1)全患者に対して 2)ちゃんと感染対策してた??
3)医療者の感染の報告 4)環境表面にはどの位、ウォルスは生きているの??
(6)で、どうすれば感染せずに済むの?
1)三密? 2)濃厚接触者って? 3)濃厚接触者の定義はなんで変えたの?
4)どこまでならしてもいいの??
(7)どういう人を見つけるべき??
1)軽症例には基本的にPCR検査を推奨しない。 2)家に居ろといわても?
(8)個人的に一番不安なこと
1)みんなコロナしか心配していない 2)もし、検査で確定したら治療方針は??
(9)治療薬の特性
1)レムデシベル 2)プラケニル 3)カレトラ 4)ナッフモスタ
5)アビガン 6)シクレソニド 7)アクテムラ
(10)治療の目標
以下は9月号の内容です。
3.病原体を味方にするには!
ポール・イーワルドは進化生物学の先駆者の一人。特に、感染病の進化と宿主に与える害毒の推移について研究してきた。
毒力とは?:ある有機体が宿主(人間)に与える影響の有害度を「毒力」と言う。
人間に感染する病原体の毒力には大きな幅がある。
その例:
⓵ギョウチュウ:殆ど無害
②普通の風邪は不愉快であるが危険はない。
③エボラ・ウィルスはあっという間に死に至る程危険
人間に対して強力な毒力を発揮する様に進化した病原菌がいる一方、人間にさほど害を与えない弱い毒力で満足している病原体がいるのはなぜか?
回答(イーワルドの説)あらゆる病原体の毒力を決める主な要因は宿主から宿主へ乗り移る手段にある。感染病の病原体は全て生存と種の保存との至上命令のために新しい宿主に乗り移らねばならない。従って、この手段の違いに注目することが意味がある。
宿主から別の宿主へ移動する方法を分類すると大きく分けて3種ある。
⓵宿主同士が直接接触するか、近づいた時に空気を介して移る。普通の風邪の場合
②中間媒体の生物 (蚊、蠅、蚤など)に乗せて運んでもらう。:
マラリア、チフス、黄熱病など
③汚染された食品や飲料水を介して移動する。:コレラ、腸チフス、A型肝炎など。
この3種の方法について毒力との関係(からみ)から見てみる。(イーワルドによる)
(1)⓵の分類に当てはまる病気は毒力を強める方向に淘汰圧は掛からない。
これらの病原体は感染者に動き回って貰って、新しい宿主と接触してもらわねばならない。即ち、宿主には少なくとも、動き回る位健康でいてもらう必要がある。かつ、風邪を引いた時、会社を休まず、出勤し、一日中くしゃみと咳をし、うつしてほしいのである。
これが、風邪のウィルスは進化上の「落とし所」としている。
即ち、風邪のウィルスは今後も人間を殺したり、起き上がれない程弱らせたりする毒力を持つことはないであろう。
(2)宿主に動き回ってもらう必要がない病原体の場合は毒力が激化し易い。マラリアの例は人間の体力を奪う様に進化してきた。むしろ、感染者を蚊に刺され易い状態にしておきたい。マラリアは宿主(人間)を死の淵に追いやる方が自分達の進化上有利なのだ。宿主の血液を存分にマラリアで満たして置き、蚊に吸わせて、他の宿主に刺せば良いのである。
即ち、病原体から見れば、宿主から「絞り取れるだけ絞り取って自分の子孫を最大に増やす方向に進化させることである。
(3)イーワルドは病原体の進化の仕組みを理解すれば、毒力を弱めることは可能と考えている。
その基本は「人間を動き回らせる以外には病原体を広める手段はない。」という状態にすることである。どの様にすれば、コレラをこのようにできるか?である。
1991年:ペルーで始まったコレラが大流行の状況を作る。
南米では国により上下水道や下水道の整備状況に差がある。下記の例。
・エクアドル:水道システムには整備不良であった。このため、コレラ菌は拡散するにつれ毒力を増した。
・チリ:水道等の生活環境の整備が進んでいた。従って、毒力を弱め、殆ど死者は出なかった。
結論:
抗生物質による軍拡競争でなく、細菌を人間に合わせる様に変える。即ち、共生を考えた対策とする。
抗生物質を使うと、細菌をも強め、より強く、より危険にしてしまう。