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目に青葉の季節となり過ごし易い季節、将にゴールデン・ウィークにふさわしい時期となりました。皆様はいかがお過ごしでしょうか。5月号のB項を担当させていただきます、樋口です。さて、今回は2月末にお亡くなりになったドナルド・キーン氏についての記事をピックアップしました。彼は、日本を愛し、日本文学について研究をされていた方です。キーン氏にとって日本はどのような国だったのかをこの記事から読み取っていきたいと思います。
Renowned U.S.-born Japanologist Donald Keene, who passed away on Feb. 24 at age 96, was enchanted by Japanese literature and culture through his encounter with “The Tale of Genji,” an 11th century pageant of Heian-era court life, and devoted the rest of his life to studying and introducing Japanese works both ancient and modern to the world.
The war raging across Europe was casting a shadow over the United States back in 1940, when Keene, a pacifist, came across the English translation of “The Tale of Genji.” The masterpiece moved him immensely because unlike Western literature, people did not kill each other in it, according to Keene’s recollection during a press conference in 2008 upon his receipt of the Order of Culture from the Japanese government.―
“I’ve been very lucky,” Keene would later tell a Mainichi Shimbun reporter at every interview. He blazed the trail in introducing Japanese literature to the rest of the world when such works still had a low international profile, riding the wave of the Japan craze that was gripping European and North American countries at the time.① Yet his “luck” was largely derived from his infinitely inquisitive mind and tireless efforts②, which brought him encounters and connections with many people. Keene, a multilinguist, also played a role in the introduction overseas of works by Kenzaburo Oe in other languages. Oe was commended with the Nobel Prize in Literature in 1994.
Keene obtained Japanese citizenship the year after the March 2011 Great East Japan Earthquake and tsunami. Even though it was widely reported at the time that the quake disaster motivated him to move to Japan permanently, it had already been known among his close friends that Keene had long wanted to become a Japanese citizen. “My life is inseparable from Japan,” he said, continuing his research into things Japanese into the very final years of his life.
<Vocabulary>
renowned 有名な、enchanted 心を奪われた、pageant 歴史劇、devoted 捧げる、raging 荒れ狂う、immensely とても、recollection 記憶、 derived 引き出す、得る、inquisitive 知りたがる、inseparable 離れがたい
<解説>
①… この1文の中に聞き慣れないフレーズがいくつかあるかと思います。まず、”blazed the trail”というのは、まだ過去に誰もしたことがないことを成し遂げたという意味になります。つまり、彼は誰も過去にしたことがない日本文学を世界に広めるということを、国際的にまだ浸透していなかったにも関わらずやってみせたということが前半の部分で読み取れます。また、”riding the wave of the Japan craze”というフレーズもあまり聞いたことがないでしょう。このフレーズを訳すと、日本という国が有名になったことを少しの間だけかもしれないが楽しむ、というようになります。また、この影響はヨーロッパや北アメリカの国々の興味を引き付けていたと後半に述べています。つまり、キーン氏は日本文学を世界に広めることによって、日本だけではなく、様々な国に大きな影響を与えたということが読み取れます。
②… この文章は特に遠回しな言い方だったり、分かりにくいフレーズがあるわけではないのですが、難易度の高い単語が複数あることによって理解しづらい文章になっているので、見ていきたいと思います。まず、yetが文の冒頭に来ていますが、この場合は「~まだ」とかではなく、「しかし」というように使います。また、この“yet”は、前の文章に掛かっています。”Derived”や”inquisitive”は単語の欄に書いてあるので、それを見ながら訳していくとこのようになります。「しかし、無限の好奇心と大変な努力をしてきたからこそ、キーン氏の運が引き出されたのだ。」すなわち、彼の努力が報われたということが読み取れるかと思います。
いかがでしたか?今回の記事は全体的に読みやすい記事だったかと思いますが、単語やフレーズが所々難しいところがありましたので、そこを中心に解説をしました。この記事で、キーン氏がどれだけ日本を愛し、大切に思っていたのかが良く読み取れるかと思います。東北の大震災の後に日本国籍を取得されたみたいですが、彼はもっと昔から日本の国籍を取りたいと強く願っていたのだそうです。私たちもキーン氏のように自国だけではなく、他国にも目を向け、そこの文化や価値観を受け入れグローバルな人間になることが必要なのではないでしょうか。